因数分解と零点
中学生のころに学ぶ因数分解とは
\begin{align}
(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab
\end{align}
のように式を積の形で表す操作である。上の例ではが因数に当たる。このような式の段階では分かりづらいが、方程式が出現してからはその有用さは明らかである。
次のような一次、二次方程式を解くことを考える。
\begin{align}
ax+b = 0 (a \neq 0) \hspace{10mm} cx^2+dx+e =0 (c \neq 0)
\end{align}
これらの方程式の解はそれぞれ
\begin{align}
x=\dfrac{b}{a} (a \neq 0) \hspace{10mm} x=\dfrac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac }}{2a}
\end{align}
で与えられる。このように解が求まるということは
\begin{align}
&x+\dfrac{b}{a} =0 \hspace{10mm} \left ( x+\dfrac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a} \right ) \left ( x-\dfrac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac }}{2a} \right) =0
\end{align}
と因数分解できるということである。
例えば
\begin{align}
(x+2)(x+3)=0
\end{align}
について、展開して整理すれば
\begin{align}
x^2+5x+6=0
\end{align}
となり
のようなグラフとなる。非常にわかりにくいが、が軸との共有点になっている。軸との共有点こそが零点である。
零点の重要性は上の結果から次のように考えることができる。
- 1 関数を零点を用いて分解
- 2 零点から関数を作る
この2つの問題は非常に重要である。
ここでは2について、次のような零点
\begin{align}
x = 0, \pm \pi , \pm 2 \pi , \pm 3 \pi \cdots
\end{align}
を持つ関数を考える。先ほどの例のように考えればこのような零点を持つ関数は
\begin{align}
f(x) &= (x-\pi )(x+\pi)(x-2\pi)(x+2\pi)(x-3\pi)(x+3\pi) \cdots \\
&=\prod_{a=零点} (x-a)
\end{align}
と表示できるはずである。今回の関数は明らかにであるから
\begin{align}
\sin x =\prod_{a=零点} (x-a)
\end{align}
の表示を得る。
数学で1つの式に別の表示を与えることは重要である。実際この表示はオイラーがバーゼル問題を解くために使用している。
バーゼル問題については今回の記事の趣旨と異なるので次回以降投稿する。